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どう変わる?保育所保育指針改定のポイント
イラスト=三浦晃子

改定の要点を確認しよう
過日、日野市社会福祉法人保育園連合会主催の保育所保育指針研修会が東京都日野市役所で開かれ、講師の厚生労働省・天野珠路保育指導専門官から、改定の要点についての講演がありました。子育て支援に力を入れている日野市の12の保育所が集まり、指針の内容を理解し保育実践や子育て支援に生かしていく勉強会として開催されたものです。その講演の内容から、改定の背景や見直しの視点、基本方針などを確認していきましょう。
保育所が社会から求められること
保育所の役割が拡大して、社会から求められることが多くなってきたといわれます。
そこにはどんな背景があり、保育指針はどのように変わるのでしょうか。
改定の背景
●子どもの生活環境の変化
●保護者の子育て環境の変化

平成12年4月に施行された現行の保育指針から7年余りが経過し、この間、子どもの生活や子育て家庭の状況が大きく変化しました。子どもにふさわしい生活リズムや生活時間が乱れていることや、家庭や地域で子どもも大人も人とかかわる経験が不足していることなどがあげられます。また、核家族化や地域とのつながりが希薄になるなかで、子育ての不安や悩みを抱えて孤立化する保護者が増え、養育力の低下が指摘されています。
●保育所に期待される役割が深化・増大
・質の高い養護や教育の機能
・子どもの保育とともに、保護者に対する支援を担う役割

乳幼児期は、子どもが生涯にわたる人間形成の基礎を培うきわめて重要な時期です。家庭や地域における子育て力の低下がみられるなかで、保育所における高い養護や教育の機能が求められています。 また、保育所に入所している子どもの保育とともに、その保護者、さらには、地域の子どもや保護者に対する子育て支援を担う役割がいっそう高まってきています。 このような背景を踏まえ、「保育の内容の質を高める」ことを目的とし、「保育所保育指針」の内容の改善・充実を図る必要が出てきました。
改定のあたっての基本的考え方
●厚生労働大臣による「告示化」
●内容の大綱化をし、現行の13章を7章に
●明確でわかりやすい表現に
●指針と併せ、解説を作成
●大臣告示化により最低基準としての性格を明確化
現行の保育所保育指針は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の局長通知であり、おおむねこのように保育するようにと示されたガイドラインです。 改定後は、厚生労働大臣の告示、すなわち「法令」となり、規範性(義務)が伴います。 これは、大きな改定といえます。告示化は、保育所の役割が拡大し、社会的にも期待され、認められるなかで、幼稚園と同じように就学前の子どもの教育をともに担っていこうとするものです。 そこで、保育所における保育の内容やその運営に関することの最低基準を示しています。

●保育所の創意くふうや取り組みを促す観点から、内容を大綱化
長く、細かくではなく、保育の基盤となる遵守すべき最低の規準だけを示しています。これを守りながら、園の持ち味や地域性、方針を創意くふうして、保育の質の向上を目ざします。第1章「総則」で示された全体像をしっかりつかんだうえで、第2章以下の各論を読むと理解が深まります。
●保育現場で活用され、保護者にも理解される明確でわかりやすい表現に
日常の保育現場ではもちろんのこと、保護者や地域の子育て・保育関係者などが読んでもわかるように、箇条書きの簡潔な記述、わかりやすい表現を用いています。
●「保育所保育指針」と併せて解説書を作成する
内容の解説や補足説明、保育を行ううえでの留意点、各保育所における取り組みの参考となる関連事項等を記載しています。このような解説書をつけるのは、今回が初めてです。
改定の内容
●保育所の役割
●保育の内容、養護と教育の充実
●小学校との連携
●保護者に対する支援
●計画・評価、職員の資質向上
●保育所の役割
保育所は、入所する子どもの健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、子どもの最善の利益を考慮するなどといった目的や理念のほか、家庭や地域と連携を図り、入所する子どもの保護者と地域における保護者に対する子育て支援を行う役割を担っていることを明確化します。
 
●保育の内容、養護と教育の充実
保育所における保育は、養護と教育が一体となって展開されます、そこで、理解を深めるために、保育所における「養護」とは「子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助やかかわり」であり、「教育」は「子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助」ということを明確にしています。

養護、教育に関しては、それぞれ保育の「ねらい」と「内容」が示されていますが、実際の保育においては、養護と教育が一体となって展開されることに留意することが必要です。「保育の内容」については、現行の6か月未満児から6歳児までの8つの発達過程区分ごとに示すのではなく、どの発達過程にも共通する基本事項を示したうえで、乳児、3歳未満児、3歳以上児と3つの発達過程に応じた保育の配慮事項を設けました。また、就学前までに育つことが望まれる「ねらい」と「内容」を、「養護」「教育」のそれぞれで示しています。

健康・安全及び食育の重要性が述べられていますが、特に食育の推進という項目が加わったことは、子どもの生命を保持し、健全な心身の発達を図るうえでもたいせつなことです。これらの内容については保育の計画のなかに位置づけるとともに、栄養士や看護師等の職員も含めた全職員の連携・協力による計画的な実施が期待されています。
【改定後の保育指針】
第1章 総則
第2章 子どもの発達
第3章 保育の内容
第4章 保育の計画及び評価
第5章 健康及び安全
第6章 保護者に対する支援
第7章 職員の資質向上
 
【現行の保育指針】
第1章 総則
第2章 子どもの発達
第3章 6か月未満児の保育の内容
第4章 6か月から1歳3か月未満児の保育の内容
第5章 1歳3か月から2歳児未満の保育の内容
第6章 2歳児の保育の内容
第7章 3歳児の保育の内容
第8章 4歳児の保育の内容
第9章 5歳児の保育の内容
第10章 6歳児の保育の内容
第11章 保育の計画作成上の留意事項
第12章 健康・安全に関する留意事項
第13章 保育所における子育て支援及び職員の研修など
●小学校との連携
子どもの生活や発達の連続性を踏まえ、これらが緩やかにつながるよう保育の内容をくふうしたり、就学に向けて、小学校との積極的な連携を図るよう配慮します。

幼稚園の指導要録と同様に、子どもの育ちを支えるための資料を保育所から小学校へ送付し、活用されるようにします。個人情報や守秘義務に関しては、慎重に対応します。

●保護者に対する支援
入所している子どもの保護者支援と地域の子育て家族の支援の2つの役割を果たします。どちらも子どもの最善の利益を考慮するとともに、保護者とともに子育てにかかわる視点を持ち、保護者の養育力の向上に結びつくような支援が求められます。

●計画・評価、職員の資質向上
保育所は、保育の計画の作成及びそれに基づく実践を行うとともに、その内容について、保護者や地域住民の意見を聞くなどして、みずから評価を行い、公表するように努めることが必要です。そして、課題や共通理解を深め、研修や自己研鑽によって、資質の向上、専門性の向上を図ることが求められます。
改定後に向けて
改定後の新保育所保育指針の趣旨・内容が保育関係者に充分に理解され、日常的に活用されるために、施行されるまでの間、保育所職員への研修に参加したり、園内研修を実施していきましょう。また、子育て中の保護者や、広く保育関係者にも理解されるように充分な周知が必要です。

新保育所保育指針のスケジュール
2009年4月1日施行

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